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サイテックジャーナル
1999年12月18日号


2000年問題 最終チェックと最低限の対策


 冬ですね。この時期,静電気に悩まされている人はいませんか。私も重症患者の一人です。ところでパソコンや周辺機器にとって静電気は大敵です。普通にキーボードをたたいている分には特に問題はないのですが,メモリの増設などで内部を触るときには注意が必要です。内部でバチッとやると,かなりの確率でどこかが故障します。作業をはじめる前に金属に触って静電気を逃がすとか,静電気の起こりやすい服を避けるなどの注意が必要です。パソコン内部以外にも,各装置の端子には注意が必要です。数年前のある冬の日,私はモニタをパソコンに取り付けようしていました。私の手がモニタから伸びているケーブルの先の端子に触れたとき,パチッと音がしました。それ以来,そのモニタでは赤色が表示されなくなりました。みなさん注意しましょう。


■あと10日余りです

 2000年が目の前に迫ってきました。TVのニュースで取り上げられることも多くなってきました。みなさん準備は進んでいますか。ニュースを見てだんだん心配になってきた人もいることでしょう。「そのとき」まであと10日余りとなったこの時期,いったい何をすればいいのか迷ってしまいます。そこで,確認の意味も含め,2000年問題について知っておきたいこと,最低限やっておきたいことを紹介します。ここで紹介するのは,あくまでも家庭でパソコンを使っている人,個人や小規模の事務所の中でパソコンを使っている人を対象にしたものです。外部の企業と多くのデータをやり取りしているような場合は,相手先の対応状況など,さらに広範囲の調査・対策が必要です。


■知っておきたいこと

 どんな問題が起こり得ると考えられているのかを知っておくことが大切です。大きく以下の3つの問題があります。

    (1)所有しているパソコンその他の機器,およびソフトウエアの対応状況によって生じる問題
    (2)コンピュータウイルスによって生じる問題
    (3)社会インフラの対応状況によって生じる問題

 (1)のその他の機器には,FAXなどのOA機器や,ビデオ,電話機などの家電機器も含みます。この問題は,各種機器やソフトウエアが2000年問題に対応しておらず,これらの機器などが来年誤動作を起こす可能性があるという問題です。詳細は後日紹介しますが,誤動作が発生する可能性があるのは,2000年1月1日午前0時だけではありません。その5分後かもしれませんし,午前9時かもしれません。5日後かもしれませんし,来年最初の月曜日かも知れません。あるいは,1ヶ月後かもしれない。つまり,午前0時を過ぎたから安心だとは決していえないのです。

 これらの対応状況については,各ハードウエアメーカ,ソフトウエアメーカとも,ホームページなどを使って積極的に情報を公開しています。専用の問い合わせ窓口を用意しているメーカもあります。これらを利用することによって,対応状況を知ることができます。身近にあるすべてのものについて調べることは大変です。使用頻度の高いもの,どうしても問題が出ては困るものから調べるとよいでしょう。

 私が自分の身の回りの機器について調べたところ,古いノートパソコン,電子手帳,ルータ(インターネットへの接続に使う装置)について,何らかの対応作業を行わなければ問題が発生することがわかりました。いくつかのホームページを見たところ,この他,FAX,カーナビ等では,古いもので何らかの対策が必要なものが比較的多かったようです。ビデオの中にも対策が必要なものがありました。

 コンピュータ関連機器,ソフトウエアメーカの2000年問題に関するホームページは,次のページから行くことができます。

●2000年問題対応連絡先リンク集
   http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/991210/y2k_i.htm


 (2)のコンピュータウイルスには,大きく分けて2つの種類があります。1つはサイテックジャーナル10月5日号でも紹介した,偽りのメールを利用したものです。マイクロソフトなどの名を語り,2000年問題に対応するためにはこのプログラムを実行してください,という偽りのメールを使ってウイルスを送るものです。

 もうひとつは,2000年1月1日に発病するようにプログラムされたウイルスです。コンピュータの2000年問題とは直接は関係ありません。もともとウイルスはある特定の日に発病するものが多く知られています。サイテックジャーナル11月23日号で紹介した,クリスマスに発病するウイルスもそのひとつです。このタイプのウイルスで来年1月1日に発病するものが,最近急激に増加しているようです。

 ウイルスが起こす被害はいろんな種類のものがありますが,ハードディスクをフォーマットする,つまりすべてのデータやプログラムを消去するという怖いものもあります。

 ウイルスへの対策としては,ワクチンソフトの導入が効果的です。これはウイルスを検知し,感染を未然に防ぐソフトです。インターネットを活用していく以上,2000年問題に関係なく,今後ウイルス対策は欠かせないものになります。数千円程度のソフトですので,これを機会に導入されることをお勧めします。

 ワクチンソフトを利用する場合,常に最新のファイルを使うことが大切です。ウイルスは日々新しいものが発見されています。ワクチンソフトメーカは新しいウイルスが発見されると,その新しいウイルスに対応したファイルを作成し,インターネット上などで公開します。一般的に,一度ワクチンソフトを購入すると,この新しいファイルは無料で利用することができます。常に最新のファイルを使用してウイルスチェックをすることが重要です。

 先に紹介した2000年問題対応連絡先リンク集から,ワクチンソフトメーカのホームページに行くことができます。


 (3)の社会インフラとは,電気,水道,ガス,各種交通機関,通信システムなどです。銀行のシステムも気になります。政府や各団体,企業などは大きな問題は起きないといっています。しかし,何が起こるかということについて正確に言える人はいないと思います。個人的には,なにも起きてほしくないけれど何が起きてもおかしくない,と思っています。このあたりについては,各自の判断に基づいて対策をとるしかないと思います。対策についてはサイテックジャーナル10月4日号でもある程度紹介しました。他に役に立ちそうなホームページを紹介します。

●2000年問題に関する最新ニュース http://news.yahoo.co.jp/Full_Coverage/Year_2000_Problem/
   最新情報はここで入手できます。

●我が家のY2K備蓄 http://www.harapan.co.jp/Miyazaki/Turezure/ture_Y2K.htm
   実践に基づいた備蓄リストなどがあり,一般家庭用としてかなり参考になります。

●Y2K備蓄リスト http://www2.odn.ne.jp/~hidesan/survival.html
   ここも情報が豊富。一般家庭で役立つ情報が満載です。2000年問題に関するリンクも豊富です。

 


■最低限やっておきたいこと

 ここまでいろいろ書いてきました。大変ですが最低限の準備はしておきましょう。それでもやっぱり大変だという人に,コンピュータに関してだけですが,ほんとにほんとに最低限やっておきたいことをお知らせします。パソコンを仕事に使っている人は,ぜひこれだけはやっておきましょう。


(1)今年中にやっておくこと

 問題が起こったときの被害を最小限にするためにやることはただひとつ,データのバックアップです。今まで作ってきた文書やメール,年賀状印刷のために一生懸命入力したアドレス帳のデータなど,とにかく消えては困るものについては,バックアップを取りましょう。

 ウイルスが発病する可能性も考えると,パソコンの中のハードディスクドライブににバックアップをとるのではなく,できれば,フロッピーディスクやCD−R,DVD−RAMなど,パソコンから取り外すことができる記録媒体にバックアップを取ることをお勧めします。


(2)来年最初に行うこと

 来年最初に機器を使うとき,日付を表示することができる機器(パソコン,FAX,電子手帳等)については,電源を入れたらまず日付を確認します。日付が正しくない場合は対策が必要です。すぐにメーカに問い合わせましょう(そのためにもメーカへの連絡先くらいは年内に準備しておきましょう)。

 また,正しかった場合でも,しばらく機器を疑って動作を確認しながら操作してみてください。普段使う機能はできるだけ試してみてください。今までと様子が違う場合はどこかで問題がおきている可能性があります。


 個人的にはウイルスが一番気になっています。単にウイルスによる被害が心配なだけではありません。来年になって何か問題が起きた場合,それが純粋な2000年問題によるものなのか,ウイルスによるものなのかが簡単には分からなくなってしまう危険性があると思うのです。混乱が大きくなってしまいます。

 いずれにしても,正しい情報を入手し,しっかり対応していきましょう。

Written by 大坪 和久


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