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サイテックジャーナル
2000年5月19日号


ネットで情報検索 美術館へ行こう


 お客さんによくきかれることの1つに,「インターネットで何ができるの?。インターネットで一番便利なのはなに?」という質問があります。インターネットを日頃あまり利用していない人にとっては,インターネットで何ができるかということは分かりにくいようです。TVや新聞では,インターネットで株取引をやったり,ビジネスをやるようなニュースが紹介されていて,それは分かるけれど,自分が使うとすればどんなことに一番使えるかということがよく分からない,という様子です。

 インターネットの便利さはいろいろありますが,個人的な意見をいうと,最も便利で身近で効果的なのは,単純な情報検索だと思っています。あまり積極的な活用とはいえないかも知れませんが,個人が最初にインターネットを利用するとき,最も効果を感じることができるのが情報の検索です。

 インターネット未体験の方にインターネットについて説明するときに,私はいつも「こんなに簡単にこんな情報を知ることができますよ」といって情報検索の様子を見せることにしています。たいていみなさん驚かれます。そしてすぐにでも使ってみたいとおっしゃいます。

 情報の検索はとても奥が深いです。日頃インターネットを使っている人も,もう一歩進んだ情報検索を考えてみてはどうでしょうか。世界が広がることは間違いありません。


 情報の検索については,サイテックシステムの掲示板この発言にもありますが,欲しい情報をどうやって検索すればいいかと良くきかれます。「一歩進んだ情報検索」とまでは言えませんが,実例を1つ紹介します。

 私事で恐縮なのですが,昨日ある展覧会に行って来ました。「エリック・サティ」というフランスの音楽家の展覧会です。19世紀後半から20世紀にかけて活躍した人で,ピカソらとも深い交友がありました。「ジムノペディ」というピアノ曲が有名です。名前は聞いたことがなくても,曲を聴けば「ああこの曲ね」と誰もが知っている曲です。そんな音楽家です。

 この展覧会のことを知ったのは,偶然見たテレビがきっかけでした。何気なくテレビのスイッチをつけたとき,「エリック・サティ展」という言葉が耳に入ったのです。その瞬間,テレビの方を見たのですが,すでに画面は変わっていてCMか何かが流れていました。いつどこで開催される(あるいはされた)のか全く分かりません。こうなると気になるものです。私は早速パソコンのスイッチを入れました。


 いつもの通り,Yahoo!で「エリック サティ」を検索します。いくつかのホームページがヒットしました。しかしどれもこの「エリック・サティ展」に関するものではないようです。

 ヤフーなどの検索エンジンで検索する場合,今回の展覧会に関する情報のように,期間限定,あるいは短期間の催し物等がヒットする確率は低いようです。ホームページが公開されてからそのホームページが検索エンジンのデータベースに登録されるまでには,時間がかかります。数日から数ヶ月かかります。また,登録されたホームページは,毎日内容が更新されるわけではありません。何もしないと古い情報のままです。ですから,期間限定のようなものが,直接検索エンジンでヒットしたり,表示される確率は低いのです。


 しかし凝り性の私はこんなことではあきらめません。日々更新されるような新しい情報を調べたいときに有効なものの1つが「掲示板」です。インターネット上には,様々な掲示板があります。それぞれ特定の趣味などについて,多くの人が会話をしています。ここに最新の情報が載っている可能性があるのです。

 先ほどヒットしたホームページのリストをもう一度見てみます。するとその中に「エリック・サティの悩めるページ - 掲示板等。 」というホームページがあります。このホームページには掲示板があるようです。早速見てみましょう。

 エリック・サティの悩めるページを開くと,「サティの悩める掲示板」というコーナーがあります。そこを開きます。すると,予想通り「エリック・サティ展」に関する情報が書かれていました。私と同じように「エリック・サティ展」に関する情報が欲しいためにこのページに来た人も何人かいるようです。

 掲示板を見るといろんなことが分かりました。「エリック・サティ展」 は新宿伊勢丹で開催されていること。毎日3回生演奏があること。他に展示内容についても書かれています。

 さあ,仕上げです。新宿伊勢丹のホームページにアクセスします。たどり着いたホームページはここ。伊勢丹美術館です。開催場所,期間,時間,入館料,全ての情報を入手することができました。しかし1日3回行われる生演奏に関する情報は載っていません。これは先の掲示板にたどり着いた人だけが知ることができた情報です。


 これで準備は整いました。あとは美術館に行くだけです。今回は仕事の都合で生演奏を聴くことはできませんでしたが,大変興味深い展示を見ることができました(このあたりは完全に個人の趣味の問題ですが)。

 インターネットというと,IT革命だ,eビジネスだと何かと大きな話題が要求されることが多いです。「私が一番使っているのは単純な情報検索ですよ」と答えると,期待はずれのよう顔をされます。しかし,多くの個人はこのあたりに便利さを感じているのです。これを実感して初めて次のステップにいけるのだと思っています。大きな話を要求する人に限って,インターネットを使っても情報が見つからない,と騒いでいることが多いようです。


 ここで1つ重要な注意を。今回は掲示板に書かれた情報に基づいて見たかった展覧会の情報にたどり着き,そのおかげで展覧会に行くという目的を達成することができました。しかし,掲示板に書かれた内容がいつも正しいわけではありません。間違った情報はもちろん,故意に他人をだますような情報も載っています。掲示板に書き込んでいる人は,「見知らぬだれか」なのです。しかも多くは匿名で書き込まれているのです。どんな無責任なことが書かれていても不思議ではありません。このあたり各自の自覚と正しい判断が必要です。

 先日起きた西鉄バスジャック事件に関して,犯人が掲示板に犯行をほのめかす内容を書き込んでいたという報道がされています。今はもうその掲示板を見ることはできませんが,私は偶然その少年と「見知らぬ誰か」の会話を見ることができました。その少年が「見知らぬ誰か」からとてもひどいことを言われていたのを覚えています。人間は「匿名」という蓑(みの)に隠れると,他人にここまでひどいことが言えるのか,と驚くような内容でした。

 いずれにしても,インターネット上の情報については,その性質を自覚し,正しい判断をすることが大切です。その上でしっかり活用しましょう。


 今回も,またインターネットに助けられました。インターネットさまさまです。 

Written by 大坪 和久


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